変形地のフラットハウス

霧島市溝辺町|木造平屋建て|敷地面積 514.24㎡(155.55坪)| 延床面積 100.20㎡(30.31坪)| 5人家族|竣工2021

北下がりの台形変形地に建つ平屋の家。

南側の隣地は敷地より1.5mほど高く、空き地であったため新しく家が建つ可能性が十分ある土地。2面道路によりある程度の光、風、視線の抜けを確保できるが、逆に周囲からの視線も考慮しなければ住みにくい家となってしまう。また実質、アプローチとして使える接道は東側のみとなり、北側に尖った土地は非常に使いづらい。俗にいう規格住宅を建てるとまず無駄な配置計画となるのは間違いない。それでもあえてこちらの土地を進めたのはデメリットの中にあるメリットを最大限プランでカバーし、アークプラスでしかできない表現力でつくる開放的で周囲の視線を気にせず生活できる住み手にとって暮らしやすい家を提案した。

南側を開き過ぎず、閉じ過ぎず、木格子で南側との繋がりを柔らかくつなげ、畳リビングからあえて30cm上げた窓とウッドデッキは抜けすぎない工夫と畳に座っていても心地よさを演出するベンチとしての役割もある。周辺からの視線を考慮し、玄関はあえて見えない奥まった位置に配置した。吹き抜けのハイサイドから入る気持ちのいい朝日を浴びながら見送られる清々しい玄関となっている。北側は建物が建つ可能性が限りなく低い雑木林の傾斜地。あえて背面キッチンにした大きめの窓から借景として取り込み、夏の強烈な西日を防ぐのに役立つ。南側より大きな北側デッキは家族のプライベートな庭。北側でも光のあたり方を計算した二寸勾配の切妻屋根は洗濯物を干したり、夏にはバーベキューをしたり、野菜を作ったり、多様に使える裏庭のない配置計画とした。